するといつも可愛い猫のトートバッグを持っている同じ車両のメンツの1人、20代後半くらいの女性が、そのおじさんに
「これ差し上げますので今すぐ使ってください」と個包装のマスクを差し出しました。

「
私はその女性を心の中でずっと“猫トートさん”と呼んでいたのですが、まさか彼女が一言も話したこともない私のためにこんな勇気のある行動を取ってくれるなんて……優しすぎて胸が熱くなってしまったんですよね」
ですがそのおじさんはマスクを拒否し、
ニヤニヤしながらさらに咳やくしゃみを繰り返したそう。
「そしたら近くにいた他の乗客たちが次々に『
公共の場だぞ! マナーを守れ』『
座れなかったのは別に彼女のせいじゃないだろ』などの声をあげてくれたんです。
最初はおじさんも『
そんなん知らねーよ! うるせえな』などと反発していましたが、次第に皆さんの圧にやられて口数が減っていったんですよ」
そんな中、いつも朝から綺麗に髪を巻いている、綾香さんが心の中で“ゴージャス巻毛さん”と呼んでいた30代前半くらいの女性が口を開きました。「私知ってます!
このおじさん、他の車両でも同じようなことして白い目で見られるようになって、次々と車両を変えてるんです」と大きな声で言ってくれたのです。